マーケティングの最も基本的な要素「ベネフィット」と「ユーザーニーズ」
さて、そもそもマーケティングとは何でしょうか?
一言で言うならば、企業・組織などが「お客様(=ユーザー・消費者)に“価値”を提供して、お金をいただくこと」という考え方がシンプルでしょう。これに伴い、覚えておきたい基本的な用語が「ベネフィット」です。
消費者が貴社の商品を買うのは、商品そのものを手に入れたいだけとは言えません。消費者は、その商品がもたらす“何か(良いこと)”を求めていると考えます。
例えば「温泉旅行ツアー」を買うのは、温泉のツアーそのものにお金を出すのではなく、ツアーによってもたらされる“癒し”が欲しいということです。これが“価値を提供”する部分に相当するベネフィットです。
また、マーケティングで導き出される“解”のために、欠かせないピースがあります。それが「ニーズ」です。よく「ユーザーニーズ」という言葉が使われますが、その意味はご存知でしょうか?
ニーズ(英:need、複数形でneeds)とは、人間が生活を営む上で感じる“満たされない状態”のことを表します。あるいは、人間の基本的要件、つまり人間が生きていく上で“必要”となる条件を指すとも言えます。
食料や空気、水、衣服、風雨を避ける場所、教育、娯楽などがニーズと言えるでしょう。似たような言葉の「ウォンツ」(英:want、複数形でwants)=“欲求”と混同されやすいですが、異なる概念です。何らかのニーズが特定の物に向けられた場合が、欲求となります。
例えば、食料というニーズがある時、そのニーズを満たすためにラーメンを欲するという場合が欲求となります。
もう少し踏み込んでみると、マーケティングの世界では、特定の製品に対する欲求を「需要」と呼びます。さらに、買う気があってしかも実際に買うことができる人がどれくらいいるか、というところまで、需要という言葉は示しています。
また、マーケティングにおいては、セグメンテーションをする際に、市場をニーズによって分類したり、新製品を開発する際に、顧客のニーズから着想したりするのが一般的です。
ただ、かつてモノが不足していた時代は生活が不便であったため、ニーズは顕在化していましたが、現代のようにあらゆるものが溢れている時代では、ニーズが顕在化することはむしろ珍しいと言えるでしょう。従って、消費者の気付かないニーズを競合よりも早く発見し、競合が真似のできない形で生み出すことができるか、これが企業や組織の業績を左右すると言うわけです。
以上のように、ベネフィットやユーザーニーズを鋭く探り、ビジネスとして展開し、企業・組織の利益を得るための一連の作業が、総じて「マーケティング」と呼ばれる概念なのです。